志真斗美恵 しま とみえ








『追想美術館』
2021年3月1日
績文堂 1800円+税


ざわつく時代のなかでキラリと光る美術随想

美術館を訪ねたことが夢のようだ。見たい絵を求めて旅をし、知らない土地へ行った。空気にふれ、木々や花を見た。
土地、絵や彫刻をもう一度追憶のなかにおいてみたい。


木場と調布ー桂ゆきと富山妙子
群馬・桐生ー麦秋のベン・シャーン
石川・金沢ー粟津潔 デザインの思想
東京・府中ー新海覚雄 たたかいと共に
栃木・益子ー関谷興二の陶板彫刻
栃木・宇都宮ー鈴木賢一
太地と田辺ー石垣栄太郎・前田寛治・佐伯裕子
和歌山城址ー国吉康雄と石垣栄太郎
横綱と八広ー二つの追悼式と竹下夢二
神奈川・葉山ーベン・シャーン 二枚の絵
竹橋・府中・上野ー藤田嗣治 戦争画の問題
前橋・茅ヶ崎・町田ー木版画の歴史 アジアと日本
セバスチャン・サルガドー再生への希求
ケーテ・コルヴィッツー平和主義者として生きる
母子像のことー3・11の後に
コスモスの咲く安曇野ーいわさきちひろ
新潟で考えるーゴヤ、グロッス、ブレヒト
上海・東京ー魯迅と中野重治
終焉の地を訪ねてーローザとケーテ






ケーテ・コルヴィッツの肖像』 
2006年6月20日
績績文堂 2500円+税  
好評4刷


ケーテ・コルヴィッツが没して60年。いまなお世界各地で戦禍は絶えない。戦争による死者はなくならない。飢えもなくならない。世界60億の人びとのうち、8億人以上の人びとが飢餓状態にある。彼女が版画や彫刻で描いた現実は変わっていない。イラクで戦死したアメリカ兵の母親の悲しみは、90数年前のケーテのそれと同じである。戦場でわが子をさがす母親も、戦争で寡婦となった妊婦も数知れない。「平和主義」ーそれは彼女が死を前にしたときの言葉である。ケーテ・コルヴィッツの作品は、いまも平和を考えるための手がかりになるとわたしは確信している。(「はじめに」から)

『芝寛 ある時代の上海・東京
―東亜同文書院と企画院事件』
績文堂 1800円+税