三上広昭 みかみ ひろあき



1952年 北海道生まれ



「カンナナの坂」 

web『労動者文学会』作品集 (外部リンク)


小沢信男さんに怒られた  三上広昭
【一口コラム 2021・5】

 ずいぶん昔、東京・中野の「NTTクラブ」でだったと思うが小沢信男さんに怒られたことがあった。労働者文学会の創作集の発行を記念した合評会のこと。誰かの作品の意見を求められ時、たぶんあまり感心しなかった作品だったので適当にお茶を濁そう(ありますよね、そういう場面)としたら間髪入れずに「〇▲×■△×!!」。何と言われたかわからないが怒られた。

「メーデーはどうしました」とやや睨まれたこともあった。『全逓の文化活動』に小沢さんのインタビューを載せるために谷中の自宅にお伺いしたときのことである。その日が5月1日、インタビューするのは桐山登氏で私は写真撮影が担当。睨まれたというのはうがちすぎなのかもしれないが二回も言われたので間違いない。ピクニックみたいなメーデーになんか出てられるか、という程度だったので改めて聞かれると答えに窮した。

「労働者文学賞」の選者をしていただいた小沢さんは自らの著書で労働者作家のことも取り上げている。動労の活動家でもあった藤森司郎さんの風貌とその作品、労働者として下町のことをこつこつと書く清水克二さん、「旋盤工・作家小関智弘」と中黒(・)を入れることでみえてくる小関智弘さん、などなど。

褒められたことも一度だけあるが、褒められたかどうか微妙なので内緒にしておく。 その小沢信男さんが3月3日に亡くなられた。それでも、これからも小沢信男さんの本をくり返し読むことになると思う。