Web編集委員・後記 
                      

 エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)を読んだ。2022年6月刊。ウクライナで続く戦争を中心に論じて、アメリカから自立するために日本は核を持てとの提言はちょっと困るが、それ以外は、マルクス主義への浅はかな不満は措けば概ねもっともな内容だ。日本が平和外交を選択してアメリカから離れれば余計なお節介も言わないだろう。それにしても、このタイトルで中身がもっともとは、本当に世界大戦が始まっているということか。反戦のため文学は何ができるか。(土田宏樹)

 篠原貞治「武器のない砦」「灰色の霧の中で」は問題作として50年後の今なお輝やきを放っている。アナーキーに立ち上がる働く者の群像。労働運動の厳しい路線対立が招く緊迫した関係。同時期発表の「赤ずきんちゃん気を付けて」庄司薫や「心優しき叛逆者たち」井上光晴より数段優れている。文壇も文学界も何もわかっちゃいない。捨てずにいた新日本文学の広告で篠原貞治小説集『武器のない砦』を発見。「乳房奪われる前夜」は完璧だ。(秋沢陽吉)


ガザ戦争情報に一喜一憂している。やっと人質と捕虜の交換、そして戦闘停止となったが、12月初旬現在、本格的な「停戦」となるかは未知数だ。日本政府は米従外交に見切りをつけ、「国際紛争は話合い=外交で」という平和憲法の精神で独自外交に舵を切るべきだ。ひょっとしたら、起死回生の岸田政権支持率アップになるんじゃないかな。いや外交問題ではやっぱり無理かな。日本ではイギリスのような20万人デモは期待できない。(北山悠)

「かわさき電子図書館」にアクセスして本を読んでみようとしたがビュアーなるものが開かない。「国立国会図書館デジタルコレクション」にもアクセスしてみたがとりあえず必要なものが見当たらない(方法がわからだけか?)。でも、小沢信男さんもあの歳で使いこなしていたとのこと。次号(デジタル労働者文学2号)発行までには……。(三上広昭)