鬼道

 

(えっと…どうしようかな…)

麻莉菜は、冷蔵庫を覗きこんで悩んでいた。

夏休みを迎えたのに、補習を受ける羽目になっている京一に泣きつかれて、差し入れを

持っていく約束をしたのだが、何を作れば喜ぶのかが良く判らない。

(醍醐君もいるし…二人が喜ぶものって何なんだろう…)

とりあえず、ある材料を出し始めた時、電話が鳴り響いた。

キッチンの上に、材料を置いて、リビングの方に走っていく。

「はい、緋月…。あ、小蒔…え?今から…?」

受話器の向こうから聞こえてきた言葉に、麻莉菜は少し考えこむ。

「うん、一時間後なら…。うん、判った」

短い会話の後、受話器を戻すと、急いでキッチンに戻っていった。

「急がなきゃ…」

麻莉菜は、手早く出来る物から作り始めていった。

葵と小蒔の買物に付き合った後、二人と別れた麻莉菜は学校へと向かった。

「なんで、こんな事してなきゃいけねぇんだよ」

教室の中から、京一の声が聞こえてくる。

「自業自得だろう。文句を言う前に、終わらせたらどうだ?」

それを諌めるような醍醐の声も聞こえる。

「判らねぇもんは仕方ないだろうが」

京一のむすっとした声が聞こえて、麻莉菜は少し戸惑いながら、扉に手をかけた。

「何をしている」

その時、背後から聞こえた声に、彼女は振り向いた。

「犬神先生」

「お前は、補習組ではないだろう?」

「き…蓬莱寺君と醍醐君に、差し入れを持ってきたんです」

麻莉菜の言葉に、いつもの様に白衣を纏った犬神が笑った。

「夏休みだというのに、暇な事だな。まぁ、他の事に興味を持つよりましだがな…。

ところで、緋月」

犬神は、笑みを消して、麻莉菜を見つめた。

「お前ら、おかしな事に首を突っ込んだり、旧校舎に近づいたりしてないだろうな?」

「して…ないです」

麻莉菜は咄嗟にそう答えた。

「なら、いい」

麻莉菜の答えを信じたのかどうか判らないが、犬神は笑うと教室の扉を開けた。

「試験が終わるまで、待っていろ」

それだけを言い残し、彼は教室の中に入っていった。

麻莉菜は廊下の壁にもたれて、彼らが出てくるのを待っていた。

しばらくすると、犬神だけが出てきた。

「今日は、もう連れて帰っていいぞ。試験の結果次第で、来る事になるかもしれんがな」

その言葉を聞いた麻莉菜は、教室に入っていった。

「緋月、どうしたんだ?」

「麻莉菜!」

机に突っ伏していた京一が、醍醐の一言で顔をあげて麻莉菜の側に駆け寄った。

「二人に差入れを持ってきたんだけど…」

麻莉菜は、持っていた紙袋を机の上に置きながら、そう言った。

「わざわざ、作ってくれたのか?」

「う…うん。でも、この後…葵と小蒔も来るから、一緒にラーメン食べに行こうって…」

醍醐の言葉に、麻莉菜はそう言った。

「だから、無理にこっちを食べなくてもいいよ」

「大丈夫だって、両方とも食べられるから」

京一はそう言って、紙袋の中から中身を取り出した。

「醍醐も食べるだろう?」

「ああ」

「ここんとこ、まともに食事してなかったからな」

京一は、本当に嬉しそうに食べ始めた。

「がっつくな、みっともない」

醍醐はその様子を呆れた様に、見ていた。

「だってよ、麻莉菜の作るメシ上手いんだぜ」

「それは認めるが…」

何を言えばいいか判らないようで、醍醐は顔をしかめる。

「醍醐、食わねぇのかよ。だったら、全部俺が食うぜ?」

「お前…少しは遠慮したらどうなんだ…」

醍醐が溜息をつきながら、そう言っても京一の食べるスピードは落ちなかった。

「そんなに急いで食べなくても…」

麻莉菜も驚いた様に言った。

「上手いんだから、仕方ねぇだろ?少しでも多く食べたいしな」

「まったく…お前は…」

醍醐は心底呆れた様だった。

「あの、まだあるから…醍醐君も食べて…」

「ああ、いただく事にしよう」

醍醐も添えられていた箸に手をのばした。

「いつも思うけどよ、本当に麻莉菜は料理上手いよな」

「ああ、いつでも嫁に行けるな」

「やだ…醍醐君。あ…あたし、飲物買ってくるね…」

麻莉菜は、慌てた様に教室を出て行った。

「醍醐…麻莉菜は俺のだからな」

醍醐の言葉に、箸を止めた京一は、低い声でそう言った。

「やらねぇぞ」

「お前な…何の心配をしてるんだ。俺は一般論を言っただけだぞ」

醍醐は頭痛を覚えながら、そう言った。

「最近、どいつもこいつも麻莉菜に手ぇ出そうとしやがるからよ。つい…な」

「まぁ、気持ちは判らないわけではないが」

最近知り合った誰もが、麻莉菜を狙っているのだから、京一は気が気ではないのだろう。

おまけに麻莉菜自身がそう言ったことに鈍いものだから、友達が増えたと言う感覚で

しかない。

「何の話?」

戻ってきた麻莉菜が不思議そうにそう聞いた。

「別に何でもないぜ。麻莉菜が気にする事ねぇよ」

京一は、麻莉菜に笑いかけると、彼女の持っていた飲物を受け取った。

「これ、もらうな」

京一はプルトップを開けて、中身を飲み始めた。

「そういえば、さっき美里や桜井が来るとか言ってなかったか?」

「うん、もうすぐ来ると思うの」

麻莉菜は時計を見上げながら、そう言った。

「じゃあ、急いだ方がいいな」

醍醐は、あらかたなくなりかけている料理に手を伸ばした。

「二人を待たせるわけにはいかないからな」

十数分後、校舎を出た彼らは、校門の所で絵莉と出会った。

「天野さん?」

「良かった、まだいたのね」

「どうしたんですか?また、何か…」

「たぶんね…。今日は江戸川に一緒に来て欲しくて…後の二人は?」

頭数が足りないのに、気づいた絵莉の言葉に、彼らは顔を見合わせてから答える。

「美里と桜井ならもうすぐ来ますよ」

「おい、来たみたいだぜ」

走ってくる人影を見て、京一が醍醐の脇腹を肘でつつきながら、そう言った。

「何か…様子おかしくない?」

その方を見た麻莉菜の言葉に、緊張が走る。

「あ、みんな」

葵と小蒔が彼らを見つけて、駆け寄ってきた。

「どうしたの、まさか…鬼道衆が…」

「え…いや、そうじゃないんだけど…ひょっとしたら鬼道衆よりタチが悪いかも」

小蒔の要領の得ない言葉に、彼らは首を捻る。

「鬼道衆よりタチが悪い?」

「一体何が…」

「わっ、来た!」

「来たって…」

「京一、麻莉菜を隠して!醍醐君、背中借りるよ!」

小蒔は、葵の腕を引っ張りながら、醍醐の後ろに隠れた。

「お…おい?」

「何があったの?」

その時、底抜けに陽気な声が聞こえて、若い外人が現れた。

「ナンデ逃げるデスか?」

「な…何でって…あんな勢いで追いかけられたら、誰だって逃げると思うよ」

「NO!アナタ達逃げるから、ボク、追いかけた。やっと、見つけたボクの理想の人、

見失いたくなかったネ」

「ナンパかよ」

麻莉菜を背中に隠しながら、京一が呟いた。

「ナマエ教えてクダサイ」

葵の事を見つめながら、その青年は聞いてきた。

「美里…葵です」

少し困った様に考えた後、葵が答えた。

「葵ったら、教える事ないのに」

「え…でも、何か可哀想で…」

「葵は優しすぎるの」

「アオイ…キレイなナマエネ。ボク、覚えました。アナタは?」

今度は小蒔の方を見ながら、そう聞いた。

「ボク?ボクは桜井 小蒔」

「コマキネ、プリティなナマエネ。似合ってる」

彼は、京一の後ろにいた麻莉菜を覗きこんだ。

「アナタのナマエもオシエテクダサイ」

「あの…」

(なんか、怖い…)

あまり体験した事のないナンパに、麻莉菜は怯えていた。

「こいつにまで、手ぇ出すな!」

京一は、その青年に向かって怒鳴りつけた。

「OH?ドウシテデスか?」

「こいつは、俺のだ」

麻莉菜の怯えを感じ取って、京一は彼女をかばっていた。

「女の人は、世界の宝ネ。一人占めするの、ヨクナイネ」

「ふざけた事言ってんじゃねぇ!このクソ外人が!」

京一の怒りは頂点に達していた。

「NO、ボク、外人チガウネ。ボク、ハーフね。見かけで判断する

のヨクナイネ。それに、ボクはアラン 蔵人言うナマエがあるね」

「こんな奴、放っておいていこうぜ。急ぐんだろう。絵莉ちゃん」

「え?行くって、何処へ?」

「何言ってんだ。約束してただろう。忘れたのかよ」

「あ、そうだったね」

小蒔は、京一の言葉に慌てた様に頷いた。

「ドコヘイクですか?」

「俺達は、これから江戸川へ行かなきゃなんねぇんだよ。お前に、構ってる暇はねぇんだよ」

「江戸川、ボクのHOMEね」

「何だって!?」

「…偶然って怖いね」

アランの言葉に、小蒔が溜息混じりに言った。

「でも、江戸川は今、VERY、VERY、キケンね。行ってはいけない」

次のアランの言葉に、彼らは驚愕した。

「貴方、何を言ってるの?」

葵は、アランを見つめた。

「ボク、ナニも知らない。でも、行ってはイケナイ」

「貴方も、江戸川の住人なら、今あそこがどういう状況かは判ってる筈よ。私達は、遊びに

行くんじゃないのよ!」

絵莉は、アランを叱るように、声を荒げた。

「なら、ボクも一緒にイクね。きっと役に立つね」

「ふざけた事を言ってんじゃ…!」

「…いいわ。一緒に行きましょう」

「絵莉ちゃん!?」

驚いた様に、自分を見る京一達にだけ聞こえる様に、絵莉は小声で囁いた。

「彼、何か知ってるわ」

「え…」

「おそらく、この事件に関する重要な事を…」

その言葉に従って、彼らはアランを伴って、江戸川に向かった。

江戸川につくまで、アランは麻莉菜達―主に女性陣―に話しかけていた。

「それにしても、どこへ行けばいいんだ?」

「そうね、鬼道衆が絡んでいるとしたら、門を封じているものが、この近くにある筈だと

思うんだけど…」

絵莉がそこまで言った時、大きな爆発音が聞こえた。

「何…?」

「事故みたいだよ。向こうの橋の方…」

「風が…!」

「え?」

アランは、突然走り出した。

「ど…どうしたの?」

「判らない…でも…」

気の変化を感じ取った麻莉菜達も、その後を追って走り出した。

橋のたもとで、一台の自動車が白煙をあげて止まっていた。

「アラン君!」

自動車から少し離れた所に、アランが倒れていた。

そこから、人影が現れて、橋から下に向かって飛び降りた。

「葵、天野さん、彼をお願い」

逃げた人影を追って、麻莉菜達は橋の下に降りていった。

「やっぱり、鬼道衆が…」

遠目で見た人影は、鬼の面を被っていた。

「離れるなよ、何があるか判らねぇから」

「うん」

京一の言葉に、麻莉菜は頷いた。

「また、洞窟か」

人影が入っていった洞窟の前に、辿りついた醍醐は中を見ながらそう言った。

「ここに何かあるのかな?」

小蒔は醍醐の横から覗きこんだ。

「判らないけど、何か嫌な気がする」

「みんな、大丈夫?」

葵達が走ってきた。

「うん、アラン君は?」

「油断したけど、ダイジョウブネ。シンパイしてくれてありがとう。麻莉菜は優しいネ」

「馴れ馴れしくするなってんだろう!」

「そんな事を言ってる場合じゃないだろう。行くぞ」

京一を宥めると、醍醐は先頭に立って洞窟の中に入っていった。

少し奥に入ると、広い場所にでた。

「ここは…」

「ひっ!」

正面を見た麻莉菜は、悲鳴を上げて、京一にしがみついた。

「どうした…?」

「あ…あれ…」

麻莉菜は震える指で前方を指差した。

「これは…」

その方向を見た京一達も息を飲んだ。

そこには、切断された首が何かの模様を描く様に置かれていた。

「な…なんなの?」

葵と小蒔は、眼を逸らしながら、そう言った。

「まさか…呪術に使うために…」

天野も呆然としていた。

「趣味が悪すぎるぜ。こんな真似しやがって」

京一が、何とも言えないような表情を浮かべてそう言った。

「奴がいる…!」

「え?」

アランが突然走り出した。

「アラン君!?」

「あの馬鹿!」

アランは、下忍に取り囲まれてしまった。

「しょうがねぇ、援護するぜ。麻莉菜?」

「うん、お願い。葵は、天野さんとここにいて。醍醐君、京一君と一緒に行って。小蒔は、

あたしと一緒に来て」

「判った」

「気をつけてね」

葵の言葉に小さく頷くと、麻莉菜は小蒔と走っていった。

「行くぜ」

京一と醍醐も、敵の間に斬りこんでいった。

「小童どもがぁ!」

下忍を統率しているらしい男が風を巻き起こした。

「!」

「駄目だよ。これじゃ、ボクの攻撃は通用しない」

小蒔の射る矢は、風に煽られて敵にまで到達しない。

「小蒔、援護して。あたしが、奴らの所につくまで、足を止めてね」

「…判った」

麻莉菜の言葉に、一瞬迷った後、小蒔は頷いた。

「お願い」

麻莉菜は、小蒔が矢を番えるのを見た瞬間、走り出した。

「行っくぞぉ!」

風の止まった一瞬を狙い、小蒔が気合を込めて射た矢は、下忍の足を止めるのには充分な

威力を持っていた。

その隙をついて、麻莉菜が下忍の群れに攻撃をかける。

下忍の群れを倒し終わった時、空間がゆっくりと歪む。

「!?」

大地が揺れて、全員がその場に倒れこむ。

「きゃあ!」

「麻莉菜!」

何かの《力》に吹き飛ばされた麻莉菜を京一が、間一髪支える。

「大丈夫か?」

「う…うん」

「何か…来る!」

醍醐の声に、彼らは立ちあがり、周囲を見回す。

「あれは!」

異様な生き物がゆっくりと空間の狭間から姿を現す。

「まさか…クトゥルフの邪神!?」

絵莉の声が聞こえた時、一発の銃声が響いた。

「アラン君!?」

銃を手にしたアランが、憎しみの表情を浮かべて立っていた。

「アイツがボクの村を…パパやママ、トモダチを殺した」

「!?」

「ユルサナイ!」

アランは再び銃を撃とうとした。

「危ない!」

それより一瞬早く、邪神の攻撃がアランを襲う。

「アラン君!」

咄嗟に、麻莉菜がアランを突き飛ばした。

「麻莉菜!?」

「大丈夫!?」

仲間達が、麻莉菜の元に駆け寄る。

「痛…」

左肩を押さえて蹲る麻莉菜を見て、京一がアランに掴みかかる。

「トチ狂ってるんじゃねぇぞ!この野郎!てめぇがどうなろうと知った事じゃねぇが、

一人で突っ走って、俺達を危険に晒すな!」

「京一君、今はそんな事を言ってる暇はないよ…。あれを元の所に返さないと…」

「大丈夫か?緋月」

「うん…左だから…」

葵の応急処置を受けた麻莉菜がゆっくりと立ちあがって、醍醐の言葉に頷いた後、京一を

止めた。

その言葉を聞いた京一は、渋々、アランの衿から手を離した。

「アラン君、手伝って。あれをこのままにしておけない」

「ボク…」

麻莉菜を見つめながら、アランは呆けた様に立ちつくしていた。

「俺達だけでやるぞ。醍醐、小蒔、いいな?」

「ああ」

「野放しにできないものね」

アランを戦力外と見た京一の言葉に、醍醐と小蒔が頷いた。

「葵、援護して」

「ええ」

葵が立ちあがりかけた時、派手な高い音が響いた。

「しっかりしなさい!あなたは、自分で役に立つと言って、ここに来たんじゃないの!?」

絵莉が、アランに平手打ちをくらわしていた。

「今がどんな状況か判ってるでしょう。あなたには、戦える《力》があるはずよ」

アランは、頬を押さえながら、周囲を見回した。

「ボクも…」

麻莉菜は黙って、アランを見つめていた。

「ボクも戦うよ。アノ時みたいな思いはもうしたくない」

アランは、一度目を閉じて気持ちを落ち着かせると、落ちていた銃を拾った。

「ありがとう、アラン君」

麻莉菜は、嬉しそうに笑った。

「小童どもが、つけあがるなぁ!」

邪神の前にいたたった一人残っていた男が、麻莉菜達に刃を向けた。

「麻莉菜、傷つけといて、そんな事言えるとでも思ってんのか!?」

京一は、木刀を構えて一歩前へ出る。

「あっちは京一に任せておこう」

「麻莉菜、怪我したから、ぶち切れてるしね」

醍醐と小蒔は、邪神の方に注意を向ける。

「まったく、知らないって怖いよね。麻莉菜を傷つけて、無事でいられる筈ないのに」

小蒔は、苦笑混じりにそう言った。

「まったくだ」

戦闘は、瞬く間に終わった。

邪神は、時空の彼方に再び封じ込められて、京一と対峙していた男も倒れた。

「く…九角様、お許しを!」

男が最期に叫んだ言葉を聞いて、麻莉菜が振り向いた。

(九角…?)

「さっさとずらかるぜ。こんな所に長居は無用だ」

京一が、麻莉菜の腕を引っ張って、歩き出した。

残りの者もそれに続いた。

「アリガトウ、ミンナの仇を討つことがデキタね」

アランが地上に出た後、彼らを見ながらそう言った。

「今度は、ボクがキミ達の役に立つ番ネ。何かあったらレンラクして」

「また、足を引っ張るつもりじゃねぇだろうな」

「京一君、そんな言い方!ありがとう、何かあったら連絡する」

「ボクもレンラクするから、電話番号オシエテクダサイ。マリナとアオイ」

「何処まで、図々しい事、言ってやがんだ!」

「結局、それか…」

「ボク、頭痛くなってきた…」

京一が、アランのことを殴りつけているのを笑って見ながら、麻莉菜の胸の中に、一つの

不安が過っていた。

(九角って…まさか…)

「こんな奴は放っといて、帰るぞ、麻莉菜。どうした?」

「ううん…なんでもない」

京一の言葉に、麻莉菜は首を横に振って、仲間と一緒に新宿に帰っていった。

 

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